ジュン×翠星石&真紅 その2

 しばらくして、突然真紅が言い出した。
「……ジュン、貴方の翠星石に対する想いは分かったわ…。」
「また…、読んだのか…。」
心の領海を共有しているためか、ごく稀にジュンの意識が
 無意識の海から、指輪を通し、真紅に直接流れ込むのだ。
 ジュンの意識は幸か不幸か、口に出す事も無く伝わった。

 自分の出る幕は無いのは分かっているが、それでも、聞かずにはいられない。
 未だ、素直になれない真紅は
「……貴方にとって、主人であるこの真紅と翠星石。
 ……‥本当に大切なのはどちらなの?」
 と、妙な聞き方をする。
 ジュンにとって真紅といる時間も好きだが、彼女といる時間とは比にならない。
 胸を痛めながら真紅に答える。
「僕は、……翠星石が好きだ…。」
「………そう…。」
 弱々しく、小さな声で返事をする。
 悲しげで、寂しげな表情を隠すように真紅は俯いた。
泣いているようにも見える。
 どんな理由であれ、ジュンは
 大切には違わない彼女を傷つけた自分に腹が立った…。


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