ジュン×翠星石&真紅 その2

 ここで気づいた。
 声が聞こえない…。
 いつも、リビングから聞こえる騒がしい声が一切しないのだ。
「真紅ッ!!」
 ジュンが声を張る。
「大丈夫よ、この子に眠らせるように頼んでおいただけだから。」
 それを聞いて、ホッと胸を撫で下ろすと同時に少し怒った。
「…どうして、そんな事するんだよ。」
「そうね…、ただジュンと少し話がしたかっただけだわ。」
 ここまでして、一体何を話すというのか…。
 そう考えると、ジュンはさっきの言葉を思い出した。
(……翠星石のことか…、僕は…‥。)
 翠星石のことをどう思っているのかは、自分でも分かっている。
 けれど、口に出そうとしても言葉が出てこなかった。


[前へ] [次へ] [戻る]