ジュン×金糸雀

 対峙するジュンと金糸雀。
 入って来たのはバレバレ……と言うより、外で煩いのでジュンが入れた、のである。
 言い訳無用の、この状態!
「あれぇ!? ピチカート!」
 ここで頼みの綱、人工精霊の方を見ようとした金糸雀だったが、窓にコツコツ当たっているのを見て、素っ頓狂な声を上げる。
 どうやら、乗り遅れたらしい。
 数秒間の沈黙。
「……あのね」
「何だよ?」
「ピチカートもおうちに入りたいのかしら」
「生憎、呪い人形関係は飽和状態だ」
「……駄目なのかしら」
「駄目だ……つーか、お前ローゼンメイデンだよな? 何しに来たんだよ」
 ジュンの当たり前と言えば当たり前の指摘。
 しかしそれでも、金糸雀は途端にしどろもどろになる。
「か……カナは、ば、薔薇乙女なんかじゃ、ないのかしら!」
「紛うこと無きローゼンメイデンか」
「ローザミスティカなんて知らないのかしら! ほしくないのかしら!」
「……狙いは、まあ分かってたけどな」
 ジュンはこのニューカマーに、警戒するよりむしろ呆れていた。
 こいつ馬鹿そうだな、と。
 弱そうだな、と。
 自分でも倒せそうだな、と。
 ……すると、ちょっとした悪戯心が湧き上がってくる。
 別に失敗したら、真紅達を呼んで戦ってもらえば良いのだ。
 ジュンは無言で金糸雀を押し倒すと、頬に平手打ちを喰らわした。

「痛っ!? ひぃッッ!」


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