ジュン×真紅・翠星石

その日の深夜。
静まり返ったジュンの部屋。そこには三つの鞄が閉じて並んでいる。
が、今は一つだけ開いていた。

ジュンがベッドからむくりと起き上がり、キョロキョロと辺りを見回す。
鞄の方を確認し、ゆっくりと静かに部屋を出る。
向かうのは一階にあるリビング。
ギシギシと階段が音をたてる。慎重に降りていく。
リビングの前に着く。すでに中には人の気配がしていた。

「ジュンね。入っていいわよ。」

リビングからは真紅の声。
音をたてぬように静かにドアを開けて中に入る。

「待たせたか?」
「だいぶ……ね。まったく、主人を待たせるなんてダメな下僕ね。」
ソファーの上にちょこんと座っている真紅が答える。
窓から入る月明かりのせいで、真紅がいつもより妖しく美しく見えた。
「ちゃんと償いはする。」
そうジュンは言い、真紅の横に腰掛け優しく唇を重ねた。


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