ジュン×真紅

「ジュン、私はもうあなたといる資格なんてないわ」
「何言ってるんだよ!何でそうなるんだよ」
彼は必死に私を呼び止めようとした。私は話を続けた。
「物わかりの悪い家来ね。私はあなたの事を心配してあげてるのよ?」
「だからって何で消える必要があるんだよ」
「あなたをこれ以上、傷つけたくないから…。それだけ」
私のその言葉にジュンは一瞬戸惑ったような顔をした。だけど彼は続けた。
「僕はお前に消えてほしいなんて言ってないだろ!もう傷も回復したんだ。それに翠星石
 たちはどうするんだよ?」
「彼女たちには私から言っておくから……」
そう言って私は彼の部屋を出ようとした。赤くなっている目を見られたくなかったからかもしれない。

ガシッ!急に腕を捕まれた。ジュンが後ろから私の腕を掴んだのだ
「離しなさい。痛いじゃないの」
だけど次の瞬間彼は私を引き寄せ、私の小さい体は彼に抱きしめられていた。
私は最初何が起こったか分からなかった。ようやくその状況を理解すると、私の顔はほてっていた。

「離しなさい、ジュン…!何をするの?こんなこと許されると思ってるの?」
私はジュンを、そして自分を落ち着かせようとした。
「僕は、お前と離れたくないんだよ。行かないでくれ」
その言葉が私の耳に突き刺さる。今の言葉は本気?本当なの?
「な、何を言ってるの?ジュン?お願いだから私を離して」
「僕はお前が好きなんだ・・・一人にしないでくれ」
彼の口から確信と思える言葉が出てきた。それでも私は自分の運命の為に否定した。

「ジュン、嬉しいわ。だけど私は薔薇乙女、あなたは普通の人間。結ばれてはいけないのよ。
 だから離して…」
辛かった。自分で言った言葉が
「それでも僕は真紅と一緒にいたい。お前が好きなんだ」
私の目からは涙が溢れていた。薔薇乙女であるが故、人を愛したことがない私を、彼は好きだと言ってくれた。
「ジュン、私もよ。私もあなたの事が……好きよ。愛してるわ」
お互いの愛を確認した瞬間だった。


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