水銀燈×真紅・ジュン
「く……毎晩毎晩……い、いいかげんにしろよ……この破壊人形!!!」
突然、背後から聞こえてきたその大きな声に私はクルっと後ろを振り向く。
すると、ベッドのふちに立ってこちらに怒りの感情をむき出しにしているジュンがいた。
「あらぁ、いたのねぇ人間……あいかわらずくらぁ〜い顔してるから、わかんなかったわぁ♪」
「う、うるさい!……お前が来ると、ボクの部屋がめちゃくちゃになるんだ!……見ろ!こんなグチャグチャになったんじゃ、クーリングオフできないじゃないか!」
そう言って彼は、何やら得体の知れない物体やおもちゃ?の残骸の山を私に見せつけた。
どれもこれも私が壊していなかったとしても、なんの役にも立ちそうにないように見える。
「そんなこと言われても、水銀燈知らなぁ〜い……わかんなぁ〜い♪」
「ぐ……こ、こいつ……」
せっかくの真紅との会話に割り込まれてしまったが、私はこの人間……ジュンのことも嫌いではなかった。
初めて会った時、私の目を見ただけで壊れてしまったその心の脆さ。
そして、近くで見ると意外と可愛い顔をしているところに、私の母性本能が刺激されたのを今でも覚えている。
「ウフフ……そんなにムキになって怒っちゃってぇ……ジュン君ってば、かぁわいい……♪」
「!……な、な、何!……言って……」
少しからかっただけで慌てふためく彼を見ながら、私の中でじわじわと目覚めていく何かが感じられた。
彼を見ていると、おもわずマゾの私でもイジめたくなるような衝動に駆られる。
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