ジュン×翠星石
「いいから、さっき投げたそれで頭を冷やしなさい。ジュン。」いつも以上にすごみのある声で冷たく言い放つ真紅。
「なんでそんな…」「いいからはやくしなさいっ!」
いつもの真紅じゃなくて、感情をあらわにし、本格的に怒っている。
投げつけられたもの・・・。それは氷嚢だった。 痛いはずだ・・・。
ジュンはどちらかというとさっき投げつけられた部分が傷むといった感じで氷嚢を頭に当てていた。
無言・・・。
真紅は先ほどから腕組みをして考えている。
そして・・・「わたしもあやまらなければならないわね。」と言った。
『許されることとわかっていて、気になってドアの外から盗み聞きしてたんだわ・・・』 と。
「でも、これだけは聞いて頂戴。」真紅は一呼吸おいて言った。
「あなたは、誰かに好かれてもよいの。確かに悪いところもたくさんあるけど・・・素敵なところも多いのだから。」
「そんなのないに決まっている! ボクなんてただのヒキコモリのねく・・・」
「でも、心配して助けにきたり・・・心はものすごく優しい。そして・・・あなたの手は・・・」
といって、ジュンの手をとり・・・真紅は自分の胸のうえにその手を置く。
「とてもあたたかく、安心できるのだわ。」
そして抱っこして頂戴。と、真紅が言うとジュンは氷嚢を置いていつものように抱きかかえた。
「ジュン、翠星石を探しなさい。多分、外のどこかにいるわ。蒼星石のところではないみたいだけれど。」
ジュンはこくっとうなずくと、あわてて外に飛び出していった。
「まったく、こんな手のかかる下僕なんて・・・初めてだわ・・・。」そういうと真紅の目がぬれた。
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