ジュン×翠星石
場が凍る、先ほどの沈黙とは違う重厚な重みが場を支配する。
暗黙の禁止だった言葉。絶対に乗り越えられない大きな壁。
人間と…人形。
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さっきから何時間たったのだろう。
もう窓の外は日が落ち、ジュンの部屋は黒い絵の具でぬりたくられたように暗い。
あのあと、翠星石は何も言わず走って部屋から出て行き、ノリや真紅の制止をふりきって玄関から外に出て行った。
「…なんでボクなんか」
その言葉をもうずっとつぶやいて、虚ろな目で空中を見る。
あたりまえだった。対人関係がいやになり、社会を憎み、世間やノリに対して反抗することで自我を保っている人間が、恋愛感情なんて考えられるわけがない。
「もう、ボクをほっといてくれよ」
そういったときだった。ドアがキィィィと音を立てて開き、その瞬間放物線を描いてナニカが飛んできた。
『ゴッッ』 鈍い音を立ててそれはジュンの頭にヒットした。
「痛ッタァァァァ!!!!」
急なこともあって全然体制をとれてなかったジュンはそれをまともにくらい、悶絶した。
「だれだ、こんなこと…」そういいかけると、また飛んできて「ギャーーーーーー!!」
今度は眉間に当たった。
痛みをこらえながら投げられたドアの方向を見ると、誰もいない。
おかしいな、と思いながら、ドアのところまで歩き始めようと立ち上がった瞬間。
「バキッ!」「うがぁぁぁぁ!!」 こんどは足に激痛が走った。
とっさに足元を見ると… ものすごく怒っている真紅がいた。
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