ジュン×翠星石
芸術のような、綺麗な体。もしかしたら人間なんかよりずっと美しい。
しかし、それを見てジュンはなにもできなかった。 長い・・・長い沈黙の後…。
「…何考えてんだよ・・・・・・」 と小さな声で言った。
「ボクは無理やりオマエにあんなことしたのに、なに考えてんだよ!!! なんで怒らないんだよ!」
今度は大声で叫んだ。階下にまで響く大きな声。
…き…だからですぅ。
腕で胸や、大切な部分を隠し、つぶやく翠星石…。
「私がオマエを好きだからですぅ! わかったかこのチビッ!!!」
「あったりまえです、初めてを…なんですきでもないやつにやらなきゃならんですか!
オマエがあまりにも鈍いからここまでやってやったんです!わかったらさっさと抱きやがれです!」
…普段なら、「なんだとー」といって追いかけっこが始まるのだが、今は違う…。
「……んでだよ…」「なんでボクなんか好きになるんだよ!こんな引きこもりのボクを!なんでオマエが!!!!!」
「オマエはバカですか?オマエのすべてが悪いところばっかりだったら私なんか絶対に好きにならんです!
でも、好きになってなにが悪いですか!!!そんなのもわからんですか!」
本気で言い合いをする、喧嘩をする、ちゃんと自分を認識してくれる。
多分、それが翠星石がジュンに恋心を抱いたきっかけだったのだろう。
でも、どんなに怒っても絶対に言ってはいけない言葉…。
「第一、オマエは人形だろっ!!!」
を、ジュンは言ってしまった。
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