ジュン×翠星石

…最近ボクはおかしかったんだ。

翠星石が落ち着いて、しばらくの沈黙の後。ジュンはそういい胸のうちを明かし始める。

「お前らが、人形・・・ドールズだ。ということはわかってる。そりゃ、口を話すし、モノ食べるし、真紅にいたっちゃ殴るけど…。」

少し笑いながら、というよりは、自虐的な表情をしながら続けた。

「でも、お前らが着替えたり、下着だけで入ってくると…どうしようもなく落ち着かないし意識する。
それは、きっと、普通の女の子の着替えとか見たことないし、だから、意識しちゃうんだ。ドールのお前達に・・・。そう思ってた。」

たんたんと話すジュンを、翠星石はうなずきもせず、無表情でずっと見ていた。 心なしかまだ初めて「イッタ」感覚から抜け切れてはいないようだ。

「だからわからないんだ、心では気にしていなくても、頭では意識してしまうボクが…」

翠星石ははじめて、そこで「はーーっ・・・」と、深いため息をついた。

「あたりまえです、私達に性的好奇心を抱くことが悪いことなんておもうほうが間違ってますぅ。」

翠星石はまた、ため息をひとつついて、続ける。

「人形というのはそもそも、ナニカを人間が都合よく解釈して形作ったものですぅ。それは本物のクマは怖いのにかわいいテディベアがあるように。
その役割は人間の心の拠りどころになったり…。でも、なににしても、人に可愛がられるというのが私達、ドールズにとってなによりうれしい・・・。そして・・・。」

翠星石は、長い髪をたなびかせ・・・小さな・・・小さな手でジュンの頬をなでながら。

唇をゆっくりと重ねた・・・。


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