ジュン×翠星石
「な、なん…なんか気持ち悪いですぅ。ブルブル震えてるこれは!。チビ人間!これは何なんですぅ?ちゃんと答えなきゃ、みんなを呼んでくるですぅ!」
幸運にも翠星石はバイブの存在を知らなかった。
薔薇乙女は、永い眠りから覚めたばかり。それに、大抵が貴族の家などで遊ばれていたおもちゃであるし、現代の大人向けのおもちゃの存在など知るはずがない。
せいぜい、翠星石もエッチなビデオか本だろうくらいのことと思っていたのだ。
また、いつもはジュンは気を使ってそのような本は隠してあるのだが、それも翠星石は知ってはいた。しかし、内容まで読んだことはなく、
普通の本棚にある恋愛小説みたいな少しませた本くらいしか読んだことがなかった。
つまりは…乙女であるが故に、性に関する知識がほぼ皆無であったわけである。
「い…いや。これは…。」と言葉をつまらせるジュン。しかし、それに気づいてしまった瞬間。ある黒い感情がめきめきと音を立てて、心を支配し始めた。
『性悪人形は、これがなんだかわからないんだ。なら、このまま誤魔化しても済む…とは思うけど、
これを試すのも悪くない。いつもボクに突っかかってくる仕返しができるチャンスじゃないか…」
でも、相手は人形である。倫理観がソレを許さない。
でも…
逆に人形だからこそできるんじゃないのか?
ジュンは、対人恐怖症気味であり、本当の女の子にこれを使うのは現時点では不可能だし、第一使う相手がいない。
トモエにこれをつかう、というのが理想だがそれもかなわない。
ならこの目の前の人形…翠星石に使ってやろうじゃないか。
いままで押し殺してきた感情が……静かに…しかし確実に爆発した。
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