ジュン×翠星石

こんなうるさいやりとりも日常となった午後3時。お茶の時間である。

「それよりもノリ。紅茶にはスコーンなどが普通よ?いちご大福は合わないでしょう?」
文句をいいつつも紅茶とあわせて食べる真紅。
口ではなんといいつつもこのとり合わせが好きになったようだ。

ゴシックなドレスにはちょっと似合わぬ品であることはいうまでもないが…。

「どうせあらかた通販とかやらでイヤラシイ物を買ったに違いないですぅ、あんなひきこもりのオタクチビなんてほっとくに限るですぅ!」

くんくんを見終わったのか、パタパタとテーブルに駆けてくるオッドアイのドール。

「でも、いつもなら普通。ノリにどんなものでも持ってこさせるものね。あながち、イヤラシイ物って言うのも当たりかもしれないわ。まったく、下僕のクセに何をやっているのかしら…」

紅茶を飲みながら、そういう真紅は怒っていながらもどこか寂しそうな表情をうかべた。
「だったら、私がのぞいてやるですぅ。イヤラシイことしてるところをばっちりと見てやって一生バカにしてやるですぅ。まってなさい、チビ人間!」

そういうと、一気に紅茶を飲み干し、かけていく翠星石。

「ヒナも行くーっ!ジュン、何してるかヒナもみるのっー!」

と、言って一緒に行こうとした雛苺を、真紅は手元のステッキで服をひっかけて止めた。
「なにするのー、真紅ぅ! ヒナも見に行きたいのに」
「薔薇乙女ともあろうものが、ティータイム中にばたばた騒がないの、はしたない。」

それに…、といって真紅は一口紅茶をすすって「…殿方にはある、しかたのないことなの」と小声でひとりごとを言い、また紅茶をすすった。


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