真紅×水銀燈

 そこで、刃物のように細めた横目で、水銀燈をちろりと見やる。
「水銀燈・・・貴女、殿方に愛を囁いてもらったことは?」
「・・・・」
「その熱い思いを、告白していただいたこと・・・もしかして、無いの?」
「わっ、私はぁ!ただ、アリスになる、そのことだけを目指してぇ・・・!!」
「あらあら・・・殿方の愛も引き寄せられないのに、至高の乙女に、なれるのかしら?」
「しっ、しっ、真紅ゥウウウ!」
 くるりともう一度回転する真紅の横顔を、二種類の人工精霊の光が、華やかに彩る。
「そう・・・ジュンは、その愛情と欲望を・・・私を汚したくない一心で、必死に
 抑えているの。いじらしい少年だわ。」
 すさまじい殺気をこめてにらみつけてくる水銀燈の背後に、一瞬で回り込んだ真紅。
両手で、水銀燈の肩を静かに押さえると、背中から、その耳に唇が触れるほど近づいて、
囁きかける。
「水銀燈・・・」
「ひゃっ!?」
「ジュンは、その欲望に身を焼きながら、必死に我慢しているの。
 本当は、すぐにでも、私の、このドレスをめくりあげ、引き裂いて、この肌を
 思う存分に、汚し尽くしたいと思っているのに・・・」
「な、何を・・・」
 何故か、耳まで真っ赤になってうつむく水銀燈の耳に、さらに吐息のようなささやき
を送り込む真紅。
「その、神工のような繊細な指で、私の身体の、隅々まで、巧みに愛撫して・・・
私のはしたない熱いあえぎを、その柔らかい唇で吸い取って・・・
 私の身体の全ての部分を、その指と唇で、快感で洗い流すの・・・
 そして・・・まだ幼い男性で、私の、私の純潔を・・・・」
「きゃーっ!きゃーっ!!!」


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