真紅×水銀燈

2.
「・・・・」
 想像していなかった反応に、硬直したまま、無言で真紅を10歩ほど見送ってしまって、
はっと我に返る水銀燈。
「ちょ・・・ちょっと、待ちなさいよぉ、真紅ぅ!!」
「なに?後にして頂戴。せっかくのおやつの時間に遅れてしまうのだわ。」
 真紅に掴みかからんばかりに迫る水銀燈。
「何よぉ!おやつって!!」
「?」
 無言で首を傾げる真紅。
「もう一歩で!あと少しで!私を倒せるでしょお!?ローザミスティカだって、奪えるのよぉ?」
「・・・・でも、おやつの時間だわ。」
「アリスゲームと、おやつと、どっちが大事なのぉ!!」
 思わず胸ぐらを掴む水銀燈を不思議そうに見やって、少しだけ考えて、きっぱりと言う真紅。
「水銀燈。あなたは、おやつの時間の真価を、しらないのだわ。」
「・・・・なぁに、それ・・・?」
 真紅は、胸ぐらをつかんでいる水銀燈の手を無造作に払いのけると、もう一度懐中時計を開いて、
時間を確認して、少しいらだたしげに水銀燈を見下ろした。
「・・・もう、おやつの時間がせまっているというのに・・・
 仕方ないわ。いいこと、水銀燈。
 貴女に、教えてあげる。本当の、おやつの時間の意味を。」
 言葉の中に潜む迫力に、思わず相手の言葉に耳を傾けてしまう水銀燈。


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