真紅・翠星石・雛苺×ジュン
「……ちび人間、こっち向くです」
今度は翠星石がジュンの横にやってきた。
「何だよ……んむ!?」
ジュンが振り向いた瞬間、翠星石はジュンと唇を重ねた。
「んむ……む……んちゅ」
ジュンの口の中に翠星石の小さな舌が入ってくる。真紅に比べ、わずかに粘度の高い唾液が送り込まれる。
「ん……んはぁ……」
ようやく唇が離れた。ジュンの口と翠星石の口に唾液の橋が架かる。
「な……お前まで……」
「か、勘違いするなです、ちび人間。こ、これはあくまでもお前に力を送るためであって、け、決して真紅がうらやましかったからとかじゃないです!」
翠星石は顔を真っ赤にしながらリビングを出て行こうとしたが、入り口の前で立ち止まってジュンの方を振り向いた。
「へ、部屋に来る時はせめて風呂で身体中隅々まできれいにしてこいです! 絶対ですよ!」
それだけ告げて、翠星石はリビングから去った。どたどたと階段を駆け上る音が聞こえる。
「……だから、何なんだよ……」
と、今度は雛苺がじっとジュンを見つめていることに気づいた。
「……まさか……お前まで?」
「うん! ヒナもジュンとちゅーするぅ!」
そう言いながら、雛苺はジュンに飛びついた。
「や、やめろ……キスなんて、その、軽々しくするものじゃ……」
ジュンはなんとか雛苺を引き離そうとしたが、雛苺が泣きそうな顔をしているのに気づいて手を止めた
「だって……やだもん。ヒナ、ジュンのこと大好きだから……ジュンが死んじゃうなんて、そんなのやだもん……」
「お前……んん!?」
ジュンの隙をついて、雛苺は唇を奪った。
「ん、ん……」
それは、真紅や翠星石のそれに比べると唇を合わせるだけの幼稚なものだったが、他の二人に比べ、かすかに甘い感じがするキスだった。
「ん……ふぅ……」
口が離れ、ジュンは雛苺と見つめあう形になった。
「お、おい……」
「えへへ……ヒナもジュンとちゅーしちゃった」
ジュンの顔を見て、雛苺が微笑む。
「じゃあジュン、真紅たちとお部屋で待ってるね!」
そう言うと、雛苺も二階の部屋へ駆け出していった。
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