水銀燈・ジュン×真紅

敵であるはずの水銀燈のその行為に、ジュンはまるで抵抗する様子もなく、気持ちよさそうなうめき声を漏らすだけだった。
私の耳に嫌でも聞こえてきてしまう、その唾液の混ざり合う音のせいで、二人の舌が絡み合ってしまっているのがわかる。
身動きのとれない私は、そんな二人のやりとりをただ絶望した気持ちのまま見つめていた。

「あぁ……そ、そんな……ジュン……」
「んっふふふ……あむぅ……ん……ちゅぷ……」

まるで、愛し合うもの同士がするような長いディープキスをしている間、水銀燈は目線だけを私の方に向けていた。
まるで、ジュンがすでに自分の所有物であると見せ付けるように……。
そしてようやく二人の唇が離れると、彼女はそのジュンの唾液で濡れた唇をペロっと舐めあげた。

「んぅ……ふふ、これでわかったでしょう?……もうこの人間は私の下僕なの……身も心もねぇ」
「誘惑……したのね……メイメイまで使って……なんて卑怯な子!」
「なんとでも言いなさぁい……すぐにそんな生意気な口、きけなくしてあげるから!」

ビュン!!!
急に声を荒げた水銀燈は、ふたたびその黒い翼を大きく羽ばたかせる。
まるで刃物を振り下ろしたように鋭い音が聞こえたかと思うと、それが私のドレスをおもいきり引き裂いた。
いままで赤いドレスに包まれていた白い肌が、それによって二人の前にさらけ出される。

「く!……な、何をする気……」
「とっても楽しいことよぉ……彼が普段、心の奥に閉まっている欲望……したくてしたくてたまらなぁいこと……そうよねぇ?ジュン……?」


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