水銀燈×ジュン

それから5分後……。

(そうだ……せっかくあいつらいないんだし……)

ふといいことを思いついた僕は、そのままおもむろにズボンのベルトに手をかけはじめる。

(……あいつらがいる時は、できないからなぁ……)

ズボンとパンツを一緒に脱ぎ、下半身を露出させる
あいつらが帰ってきたときのことを考えてドアに鍵をかけ、そのままベッドのふちに腰をかける。

(誰のことを考えてしよう……巴……?……のり……はダメだ…………あとは……真紅?……いやそれも……)

想像でオナニーをしようにも、その環境からどうしても思い浮かぶ顔ぶれが少なくなり、ちょっぴり鬱になる。
その時……。

「……あらぁ?……おもしろい時にお邪魔しちゃったぁ……」
「………!?………」

突然近くから聞こえてきた何者かの声に驚き、僕は慌てて顔を上げた。
すると視界に透き通るようなほど美しい白銀と、その色をひときわ目立たせる黒紫が飛び込んできた。
一見して、真紅とも雛苺ともすぐに違うとわかる容姿の……あの人形が立っていた。


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