ジュン×真紅・翠星石・雛苺
「そんなにジッと見られたら…………恥ずかしいよジュンくん」
ずいぶんと少女(?)は矛盾したことを言っていた。
自分が見てくれって言ったんじゃないか……それも恥ずかしい自分を見てくれって……なのになんだよそれは?
このようにジュンは少女(?)に対して軽い憤りを感じたのだが、人間は本心を見透かされたときほど恥ずかしいものはない。
怒ったフリをしながら、ジュンは少女(?)から“ツィ”と目線を逸らした。だが今度は、
「な、なんだよ!?」
綺麗な青い瞳でジ――ッと真紅が見つめている。その瞳には少女(?)以上に、自分の深いところを見られている気がした。
「べつに……なんでもないのだわ」
そう言いながらも真紅は、なにか言いたそうにジ――ッとジュンを真っ直ぐ見つめている。
どういうわけだかそれだけで、物凄く良心の呵責を感じてしまったジュンは、
「ふんっ 変なヤツ」
真紅の瞳から逃げるように、鼻を鳴らして目線を逸らした。でもまぁ、ジュンはあまり学習してないと言うべきか逸らした先で、
「な、なんだよ!?」
同じセリフを吐きながら、今度はオッドアイに見つめられてたじろいでしまう。ただ、こっちはジュンにも考えてることがわかった。
「オマエ、なに怒ってんだよ?」
まぁ、正確には拗ねてるように見えるのだが。どっちにしてもジュンはやっぱり学習してない。
人形だって本心を見透かされたときほど恥ずかしいものはないのだ。その誤魔化し方も人間とあまり変わらない。
「!? お、お、思い上がるなですぅチビ人間 なぁ〜〜んで私がヤキモチ焼かきゃならんですかぁ お、お、一昨日来やがれですぅ!」
アセリまくりの早口で捲くし立てると“プイッ”と翠星石はそっぽを向いてしまった。
その頬はうっすらを通り越して、誰が見ても顔全体が真っ赤になっているが、なぜそうなっているかまではジュンには思い至らない。
わけわかんないヤツだなぁ
そう思いながら、今度はジュンがジ――ッと見つめる番だった。
翠星石の顔が視線を感じてか、完熟トマトみたいにどんどん赤い濃度を増していく。
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