ジュン×真紅・翠星石・雛苺

「……ジュン、レディーをそんな目で見るものではないわ」
「これだからヒキコモリのムッツリは始末に負えねぇです」
 両頬を押さえてうずくまるジュンへと掛けられる言葉は、左右からとも非常に冷たい。
 ちなみに雛苺はというと地球の重力に従って、いまだにぷら〜〜〜〜んとジュンの髪の毛にぶら下がっている。
「……おいチビ苺、いいかげんに離せ……」
「う、うぃ」
 雛苺は素直にジュンの髪の毛から手を離し、“トンッ”と軽やかな音をさせて床に下りた。
 でも“んしょんしょ”とジュン登りをすると、今度はうずくまっている背中に“ピトッ”と張り付く。
 これでドールズたちは意外と重くて鬱陶しいのだが、ジュンは文句一つも言わず、ただ黙って雛苺を背中に乗せていた。
 うずくまったときに、ジュンはやっとこさ気づいたことがある。
 礼儀正しく背筋を伸ばして座ってはいけないと、この体勢をキープしなくてはヤバいと、遅まきながら気づいた。
 一応コイツら…………女の子…………なんだよな………………
 なにを人形相手に血迷ってるんだと思わなくもないが、それでも胸のドキドキが止まらない。
 女の子にいまの自分の身体の変化を悟られたら、そう思うとジュンの胸のドキドキが増々ハイペースになる。
 チラッと右隣を見ると、リモコンは食い入るように画面を凝視する真紅の手の中だ。
 よく見れば真紅の白い面が、うっすらと赤く染まっている。それを見てジュンの胸がまたヤバいくらいにペースアップする。
「……くすっ」
 誰か、女の子の笑い声がした気がした。イヤホンをした左耳だけに聞こえる。
 画面を見ると、少女(?)はジュンに向かって微笑んでいた。
「まだまだこれからよん……………………………………………………ジュンくん♪」


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