蒼星石

12月23日
俺は今日、用事があってちょっと遠くへ行っていた。家に着いたときはもう夜だった。
かなり疲れてしまった。それに明日は大事な用があって、朝六時には出発しなければならない。
今日はさっさと寝ようかと思いながら居間に行くと蒼星石がいない。二階にもいない。
仕事部屋を覗いてみると、いた。新聞のチラシが散らかっていた。
蒼星石はそのうちの一つをじっと見つめて、泣いていた。俺はちょっとびっくりした。
「あ、ごめんなさい、マスター。すぐ片づけるね。」
蒼星石は俺に気づくと涙を手で拭って俺の方をなんともないような顔で見た。
そしてガサガサとチラシをかき集め始めた。
俺は蒼星石は見ていたチラシを奪い取った。クリスマスのおもちゃ屋のチラシだった。涙でにじんでいる。
「あ、マスター、あのね、このお人形が翠星石に・・・お姉さんにそっくりだったから思い出しちゃって・・・。」
チラシには緑色のドレスを着て髪の長い少女のぬいぐるみがあった。
オッドアイで、片目はルビーのような赤、もう片方は翡翠のような緑だった。
「好きだったのか?お前の姉のこと。」
「うん。翠星石は・・・・最期まで僕のことを許してくれたんだ。僕は全然悪くないって・・・・。」
蒼星石は下を向いて、また泣き出しそうだ。
「悪い人なんて誰もいないって・・・ヒック・・許してくれたんだ・・・くすん・・・会いたいよ・・・・どうして・・・。」
蒼星石は少し感情的になった。
「翠星石はいつものように言っていたんだ・・・。本当の悪人なんて誰もいないって・・・。
 誰だって元々は良い人なんだって・・・。そして誰にでも悪に負けちゃうときがあるんだって・・・・。
 でもそれは仕方ない事なんだって・・・。だから僕はよい子だって・・・最期まで言ってくれたんだ・・・。」
俺はじっと黙って蒼星石の話を聞いていた。
「あ、ごめんね、マスター。すぐに片づけるから。」
蒼星石はまた涙を拭うと、チラシをまとめて居間へと運んでいった。
「蒼星石、夕飯はコンビニ弁当をテーブルに置いておいたぞ。あと、明日は早いし疲れたから俺はもう寝る。」
俺は居間に向かって、少し声を上げて言った。
「うん、わかった。おやすみ、マスター。」
「ああ・・・おやすみ、蒼星石。」


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