蒼星石
12月14日
掃除し終わるのに大分かかった。まったく、疲れた。
蒼星石はこれでは役に立たない。家も汚れ、よけいに世話がやける。
仕方がないので手足を返してやった。
「あの、マスター・・・僕の鞄は・・・。」
手足の戻った蒼星石は心配そうに俺の顔を見た。
「ああ、返してやるよ。そこで寝るなり好きにしろ。あんな鞄、いるかっての。」
そうすると蒼星石はにこりと笑って、
「ありがとう、マスター。」
とだけ言った。礼を言われる筋合いはないのに。頭のねじが緩んでいるのだろう。
そしてもう寝る時間だ。鞄は俺の寝室に置くことになった。
「おやすみ、マスター。」
蒼星石はそう言うと、鞄の中に入っていった。
不思議な夢を見た。俺はツタの中にいる。ツタに視界を遮られている。じゃまで動けない。
外からかろうじて蒼星石の声が聞こえる。
「・・・・・だな。・・・・、大分時間がかかるかな・・・・・・・・・。・・・・だし・・・頑張ろう・・・。」
ツタのせいだろう、よく聞き取れなかった。
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