蒼星石

12月13日
「ねえ、マスター、本当に僕の服、知らない?」
「しつこいぞ!何度聞いても同じだ!俺が知るわけ無いだろう!!」
蒼星石は下着姿のまま家中を詮索した。
「無い・・・無いよ・・・。どこ・・・?どこ・・・?ねえ・・?」
蒼星石は独り言をぶつぶつ言いながら泣き出しそうに探していた。
洗濯機の中、洗濯かごの中、鞄の中、冷蔵庫の中、寝室、・・・・・・・・。しかし見つからなかった。
もう日も暮れ、暗くなった。蒼星石は外を探し始めた。俺はこっそり中から覗いた。
そしてついに生ゴミ入れの中から見つけた。
蒼星石は自分の服を持ち上げ、目は涙ぐみ、唇は震え、少し下を向いてそこにしばらく立っていた。
そして自分の服を抱えて家に入ってきた。
「マスター、僕の服、もう一度洗濯機で・・・・・。」
「まさか生ゴミまみれのこの小汚い服を洗濯機で洗おうと?洗濯機が汚れるじゃないか!!」
「だって・・・・僕の服・・・・。」
声が震えている。
「外の水道で自分で手洗いしろ!」
俺は蒼星石の前に洗濯板と石けんを投げた。
もう外は大分暗かったが蒼星石は下着のまま、しゃがんで手洗いを始めた。
「ぐす・・・・ひっく・・・・・ぐす・・・。」
蒼星石がすすり泣いているのが聞こえる。時々手で涙をぬぐっていた。


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