蒼星石

12月12日
今日も散歩に出かける。相変わらず蒼星石はにやにやしていやがる。
「あ、翠星石。うんちしたいの?ちょっとまってね。」
蒼星石は翠星石と名付けた犬の尻に、ためらわずに口を付けた。
「さぁ翠星石、うんちしていいよ。」
犬の尻からウンコが出ると同時にウンコが蒼星石の口の中にずるずると入っていく。
蒼星石の口が、もごもごとウンコを食べている。そのときだった。
「あ!蒼星・・・・。」
そこには中学生くらいの女の子と、赤いドレスを着た小さい少女、
そして桃色のドレスを着て、女子中学生に背負われた小さい少女がいた。
声を出したのは桃色の少女だった。そして三人は嫌な物を見てしまったかのように
すぐに蒼星石から視線をそらし、何も見ていなかったかのようにすぐに通り過ぎていった。
蒼星石はその三人が見えなくなるまで、どこか寂しそうに見つめていた。
そしてウンコを食べ続けた。最後には犬の尻をぺろぺろと舐めてやった。
その後、散歩中は蒼星石はいっさい口をきかなかった。にやにやもせず、どこか寂しそうにしていた。


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