蒼星石
12月12日
蒼星石と今日も昼食を取る。
蒼星石はどうやら芋の煮っ転がしが好きなようだ。前のマスターがよく作ってくれたらしい。
しかし前のマスターは急病で逝ってしまい、ここに来たというわけだ。
一晩中外で寝ていたせいか、少し具合が悪そうだ。ときどき咳のようなモノをし、顔色が少し悪い。
風邪をひいているのだろうか。人形のくせに生意気である。
「レンピカ、僕、どうやら風邪をひいたようだ。ちょっと治してくれないか?」
ローゼンメイデンには人工精霊とかいう光る小さい物体があり、それが身の回りの世話をするらしい。
どうりで昨日犬にかまれた腕が治っているわけだ。
レンピカと呼ばれた人工精霊は光だし、熱を発し始めた。
蒼星石はでっかく馬鹿みたいに口を開た。どうやら口の中に入れて治療するらしい。
そのときだった。
「熱い!なにしやがるんだ!うわっ!!」
レンピカが俺の腕に当たり、しかもあろうことか芋の煮っ転がしを服にこぼしてしまった。
「あ、ごめん、マスター。ぼ・・・僕のをあげるから。」
少しためらった様子だったのがよけいに頭にきた。
「ふざけるな!この出来損ない人形が!」
蒼星石は驚いて俺を見上げ、怯えている様子だ。
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