ジュン×水銀燈

おまけ

「……どう言う事か説明して頂戴」
「な、何でジュンと水銀燈が、そんな……イチャイチャしてやがるですかっ!」
「ジュンと水銀燈は仲良しになったのー?」

 あの後第二回戦に突入し、すっかり上気せた僕と水銀燈は、人形達の執拗な問い詰めに遭っていた。
「大体ジュン、貴方は私の下僕……それが水銀燈となんて……裏切りだわ」
「なあに真紅……妬いてるのぉ?」
「くっ……! 不潔よ!」
 怒る真紅と、それを弄ぶ水銀燈。
 そう言えば……二人が対峙したのを最初に見た時もそんな風だった。
「真紅カンカンなのー」
「くぅぅぅっ、これが怒らないでいられると思うですかっ!」
「うゆ……翠星石もジュンとHな事したいの?」
「……! うるせえです! このチビチビ!」
 性悪人形が千切れんばかりの勢いで雛苺の頬を抓り挙げた。
 真紅だけじゃなく、アイツまでかなり怒っている。
 大変マズイ。

「でも良かった。いつかお姉ちゃんが筆下ろししなきゃ、って思ってたけど……好きな人と出来て」
「えっ、じゃあ最近レバニラや鰻が食卓に上がるって言ってたのはその為……」
 ドサクサに紛れて危険発言をする姉ちゃんと、それを真に受ける蒼星石。
 頭が痛くなってきた。

「と、とにかく……私は下僕とドールのこんな爛れた関係は認めないのだわ!」
 怒りの余り、声が上擦る真紅。
 しかし水銀燈は、それを意に介する様子も無く、
「嫌ね゙え゙、怒っだ顔ば一団どブザイ゙グ」
 と、扇風機越しに濁った声で、火に油を注いだ。

「何ですってぇ――! 私のどこがブサイクなのよ、このジャンク!!!」
「きゃあ怖いわぁ、助けてジュン」
「……な!? か、覚悟するのだわ!」

「真紅怖いのー!」
「逃げるですチビ苺! ヤツはアリスゲームを制する気です!」
「あらあら……みんな元気ねえ」

「止めろっての、お前ら!」

 僕と水銀燈の日々は今日から始まったばかり。
 だけど、前途は……多難だ。


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