ジュン×翠星石
帰り道。少し時間がかかりすぎたが、なんとか紅茶を買うことができた。
「…疲れた…」
一人つぶやく純。
「このくらいで疲れるなんて、先が思いやられるですぅ。」
……こいつは、毒づくことしかできないのか?
「でもまあ、チビ人間にしてはよくやったほうですぅ。誉めてやるですぅ。」
「…珍しいな。お前が誉めてくれるなんて。」
純が言うと、翠星石は顔を真っ赤にして弁解する。
「かかかか、勘違いするなですぅ!きょ、今日は少しはましだと言っただけですぅ!」
そんな翠星石をみて、純は可笑しくなる。
(こいつらがいなければ、ぼくはこんな風に笑えなかっただろうな)
「…おい。性悪人形。」
んっ?と、こちらを振り返る翠星石。
「今日は…その、なんだ…ありがとうな。」
翠星石は、そんな素直じゃない純をみて、クスクスと笑う。
「な、何が可笑しいんだよ!…ほら、こっちこいよ。」
「?」
「抱っこしてやるから、こっちにこいって。」
「……真紅の気持ちも、少しは分かるですぅ…<ボソッ>」
「なんか言ったか?」
「何でもないですぅ!」
純の腕の中には翠星石。
素直じゃない純の、精一杯の感謝だった。
〜fin〜
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