ジュン×真紅
・・・そしてその日はついにやってきた。彼は長い旅に立ったのだ。
もう70歳を超えた時点で余命が長くないことは分かっていた。
彼は死ぬ間際「君と一緒の人生でよかった」と私に言ってくれた。
人間以上に人間らしく生きようとした私だったが所詮は人形だった。彼の死を見届けることになって
しまった。
私は七日間泣き続けた。泣いて泣いて泣いて泣き続けた。彼との楽しかった思い出が次々と
蘇ってくる。彼と出会った頃、雛苺や翠星石や蒼星石がいた頃を思い出すとさらに哀しくなった。
だけどもう自分は薔薇乙女である資格はない。そんな私にはもう愛せる人はいない。
七日間考え続け、私は一つの答えを出した。それをノリに伝えたとき、ノリは必死に私を止めようとした。
だけど私の答えは変わらなかった。
彼の葬儀が終わり葬儀に参列した人々が来たるべきの時の為に、彼の棺に彼の思い出の品や
花束を入れ始めた。そして私はノリに抱えられ、棺に入れられた。
「本当に、これでいいの?真紅ちゃん」
彼女の目から涙が溢れていた。
「ええ、悔いはないわ。今までありがとう、ノリ」
彼女は最後まで泣いていた。そして棺の蓋がしめられ、暗くなった。
棺は運ばれるべき所へ運ばれた。そして棺は火にくるまれた。
燃えさかる中、私は彼への最後の言葉を告げた。
「ジュン、これからも一緒よ。愛しているわ…」
終わり
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