水銀燈×真紅

「ぁ……ああっ」
ビクンと真紅の体が跳ねる。彼女には既に限界が近づいていた。



事の発端は現在から遡ること数時間前。


nのフィールド、水銀灯の領域では、真紅と水銀灯が交戦していた。
「真紅ぅぅ、もういいでしょぉ?」
羽ばたいた水銀灯の羽から、炎が飛び出す。真紅は、それを身を翻し紙一重でよける。
だが、次の瞬間羽で腕を縛られてしまった。流石の真紅も背後にまでは気がまわらなかったのだ。
「くっ」
力づくで自由を得ようとするが、黒羽の強烈な締め付けがそれを許さない。
「可愛いわぁ。可愛いわ真紅」
歩みよった水銀灯が妖しく微笑みながら真紅の頬をなでた。
そして、急に寂しげな顔をする。
「!?」
水銀灯のいつもと違う態度に、怪訝な顔をする。
いつもなら。そう、いつもならもう殺されていてもおかしくないはずだ。


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