翠星石

「ン、んぅ、はあ、は・・・っ」
トランクの中、密閉された世界の中はただ濡れた水音と切なそうな喘ぎ声で包まれていた。
外から閉ざされた所為で音は響き、音の主、翠星石の耳へとダイレクトに伝わって、ぞくぞくと
した感情を募らせるのに時間は掛からなかった。翠星石は今、トランクの中身体を丸め、己の
秘所を弄んでいた。ぷっくりとしたクリトリスを擦り上げ、押し潰し、指を差し込みかき回す。そ
の度にひどく喘ぎそうになるのを、たくし上げた緑色のスカートを噛み締めることで、なんとか
抑えていた。絶頂が近い、と、頭の隅で自分の身体が告げていた。
「あぅ、ヒ、あ、いぁ」
背筋を快楽が這い上がり、挿入された指はいつの間にか3本、4本と数を増やしている。両手を
使って己を高ぶらせる。それでも、思考はあることに囚われたままだった。
「・・・じゅん、ジュン・・・!」
その名前を呟いただけで、ぼろぼろと涙がこぼれる。ジュンを考えると同時に、真紅のことも
思い出す。仲むつまじい二人。それを見ているだけの自分。邪魔をすることなんて出来ない。
いつものくせでついつい毒舌になってしまうが、ふたりのことは好きだ。だから。
だから
「・・・っ・・・・・・・・・!!!」

びくんと身体が痙攣し、限界を迎えた。ぐったりと身体が気だるく、汗や色々なものが身体を
伝った。涙が、いっそう強く零れる。自分が、まるでぐしゃぐしゃになったようだった。トランクの
中に反響するものは、翠星石の泣き声だけ。

「・・・ジュン・・・」
せめて夢の中だけでも、私のそばに


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